-短く解説-
母親の糞から微生物を授かりユーカリの毒性に対する抗体を獲得する
赤ちゃんコアラが母親の糞を食べる?
子育てをしている母コアラの糞は「パップ」と呼ばれ、赤ちゃんコアラが生まれた直後、母親の糞を食べるという行動が観察されます。また、糞を食べる行動は母コアラの袋から子コアラが出てくるまで約数週間の間続く行動だと観測されています。
腸内微生物の受け継ぎ
コアラはユーカリの葉を食べることが主な食事ですが、ユーカリの葉には毒性があり、体内で消化するためには体内に微生物が必要となります。
この微生物は赤ちゃんコアラには存在しないため、母親の糞を食べることで、これらの微生物などを受け継ぐことができます。
腸内微生物は消化を助けるだけでなく、免疫系の発達にも重要な役割を果たしています。
また、コアラがユーカリの葉を消化できる微生物を生成できるのは、盲腸にタンニンを分解できる酵素を作るロンピネラ菌という腸内細菌が存在しているからだと言われています。
栄養の補給
赤ちゃんコアラは生まれて間もないため、消化器系が未発達であり、乳汁以外の栄養を摂取することが難しい場合があります。母親の糞には未消化のユーカリの葉や微生物が含まれており、これによって赤ちゃんコアラは追加の栄養を得ることができます。
行動の模倣
赤ちゃんコアラは母親の行動を模倣することで生存戦略を学びます。母親が糞を食べることを観察し、それを真似ることで生活の中での必要な行動を学び取ることができます。